司法ウォッチ 森山史海 コラム15

2016年1月16日 | 森山史海

「中傷サイト被害最前線」 第15回 自らの行為に向き合ってもらうために

 今世間をお騒がせしているベッキーの不倫騒動。この件でのLINEの内容流出と、私たちが問題視する掲示板書き込みには、共通する点が見られます。

 「配偶者や恋人の携帯電話の内容を盗み見る行為は、それのみでは、刑事上の責任を問われることはありません。しかし、不倫の根拠となるメールなどを公表する行為については、名誉毀損罪などが成立する可能性があります。名誉毀損罪とは、『公然と』『事実を適示し』『人の名誉を毀損した者』に成立する犯罪です。ここでの『人の名誉を毀損』とは、人の社会的評価を低下させることをいいます。不倫を示すメールを公表することは、人の社会的評価を低下させることになり得るため、『名誉を毀損した』といえます。『不倫は悪いことだから、それを正すために公表する』という正義感に燃えた考えもあるかもしれませんが、名誉を毀損したか否かは社会的評価を低下させたか否かによって判断されるため、『悪いことだからバラされても仕方ない』とはならないのです。名誉毀損罪については3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金の刑が定められています」(文=グノシー編集部、協力=弁護士法人ALG&Associates・榎本啓祐弁護士 グノシーから抜粋)https://gunosy.com/articles/RYKM8

 この中の、「不倫は悪いことだから、それを正すために公表する」と言う正義感。まさしく、掲示板の書き込みの中にも同じことが行われています。それが自らは正しいと信じ、正義感に燃えた考えに基づく行動であっても、常にそれが許されるのか――。

 
 多くの人は、この「正義感」のもとに、名誉毀損になってしまう可能性が目に入っていないように見えます。いろいろなケースを見てくると、中には一方的な解釈で、さもそれが本当で正しいことのような、明らかに思い込みで書かれているものもあります。ただただ「自分は正しいことをしている」と思い込んで書き込みをしている人は、意外と多いのです。

 これは、ある意味、正しい情報を知らないがために起こっているともいえます。もちろん、正しい情報もネットを探せば、いまやたくさんアクセスすることは可能なのですが、現実的にたどり着いていなければ意味がないのです。

 サイバーオーディターは、そこについて考えました。どうしたら、自分たちがしていることをきちんと理解し、判断していけるのか。そこで、今回また私たちのサイトを、そうした視点からリニューアルしました。トップページに「あなたは『犯罪者』になっているかもしれません!」と書きました。あなたが気軽に書いた書き込み、あなたが気軽に貼った写真、本当はが犯罪だったらどうしますか?ちょっとでもそう考えて不安になってもらえたら、少し冷静になって、自らの行動に向き合ってもらうきっかけを作れないかと思いました。

 書き込みの内容によっては犯罪になるということ。そして、どういう事例が考えられるか。さらに、今後、情報量を増やすことで、多少でも悪質な書き込みなどが減っていくことを願っています。

 私たちとともに、この問題をなんとかしなければとお考えの方がいらっしゃいましたら、是非サイバーオーディターのサイトにご意見をお寄せ頂きたいと思います。よろしくお願いします。
サイバーオーディターサイト

中傷サイト被害最前線

第1回  サイバーオーディター (コラムが残っていないため表示できません)

第2回  最初の『彼女

第3回 巨大掲示板の恐怖

第4回  頼るところ

第5回  誰も手を差し伸べない現実

第6回  『書くことを止める』と言う発想

第7回  加害者に伝える『効果

第8回  『真実』という見えない壁

第9回  被害者と向き合うという原点

第10回  ネット『告発』との区別

第11回  拡散にご協力を!

第12回  『共犯者』という自覚

第13回  誤ったネット情報による『安心感』の罠

第14回  根本的な解決へ私達が今やるべきこと 

第15回  自らの行為に向き合ってもらうために

第16回  ねじ曲がって伝えられる被害訴えの真実

第17回  ネット被害対策としての教育

 

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