司法ウォッチ 森山史海 コラム11

2015年6月22日 | 森山史海

「中傷サイト被害最前線」 第11回 拡散にご協力を!

 いまでこそ、インターネット上の誹謗中傷に対する対策を掲げた弁護士や事業体を見かけるようになりましたが、これまでこの活動では、被害者の救済と一口に言っても、現実的にはそれを続けること自体に問題が山積していました。法律がどこまで具体的解決に導いてくれるのか、どれだけ被害者の経済的負担を抑えられるのか(あるいは被害者が現実的に負担できるのか)、そしてインターネット利用者を含めて世の中の人々は、このテーマにどのくらいの問題意識(当事者意識)を持ってくれるのか――。

 いまでもこれらは私たちサイバーオーディターにとって、大きな課題であることに変わりありませんが、9年という年月をかけ、試行錯誤しながら救済のためのサイトを運営してきて、ようやく現実的な救済の成果を出せるところまでたどりつきました。

 しかし、多くの方々のアドバイスを受けながら効果的なサイトはできましたが、これからはこのサイトをいかに広め、活用していくかが課題になっています。このサイトを通して、卑劣な書き込みが止まったり、サイト運営者側が削除したり、書き込みした「加害者」本人が、直接被害者に謝罪したりといった形で、現実的な救済の成果は出ています。

 しかし、問題サイトによっては、サイバーオーディターが受理番号を発行し、問題のスレッドに書き込んだ時点で、すぐに投稿は削除されます。これは、もちろん一番望ましいことなのですが、どんな書き込みに私たちが効果を発揮したのかは伝えられないという、宿命的に悩ましい問題か存在します。

 そもそも、問題の書き込みは、少しでも多くの人の目に触れないことが被害者にとっては有り難いことなのですから、これは当然致し方ないことなのですが、一方で「私も同じようなケースで悩んでいる」とか、「こういうひどいケースでも効果がある」ということを、詳細な事例を直接目にしてもらって、利用を拡大するのは、少なくとも私たちの活動では限界があります。正直、効果があっても、広めにくいと感じるときもままあります。

 また、これは私たちの組織の体力的限界ともいわざるを得ませんが、システム自体の十分な宣伝・広報もできていません。これからは、各メディアへの働きかけなど活動をさらに活発化させていくことにしていますが、これまでのところ人的にも経済的にもかなり限定されたものであったのは事実で、これからもどうしても皆様のご支援、ご協力に頼らざるを得ないのが現実です。

 今後、講演会や対策セミナーの開催を予定しています。また、これからも当サイトのコラムを含めて、具体的な実例も挙げながら、ネット上での発信を続けていきますが、皆様におかれましても、ホームページやツイッター、フェイスブックなどで、私たちの存在と活動を是非拡散して頂きたいと思います。また、現実にネット上の誹謗中傷でお困りの方、あるいはお困りの方を知っているという方、私たちの活動にご協力、ご賛同頂ける方、アドバイスを頂ける方、ご質問のある方は、info@cyber-auditor.jpまで、是非ご連絡下さい。

 よろしくお願いします。

中傷サイト被害最前線

第1回  サイバーオーディター (コラムが残っていないため表示できません)

第2回  最初の『彼女

第3回 巨大掲示板の恐怖

第4回  頼るところ

第5回  誰も手を差し伸べない現実

第6回  『書くことを止める』と言う発想

第7回  加害者に伝える『効果

第8回  『真実』という見えない壁

第9回  被害者と向き合うという原点

第10回  ネット『告発』との区別

第11回  拡散にご協力を!

第12回  『共犯者』という自覚

第13回  誤ったネット情報による『安心感』の罠

第14回  根本的な解決へ私達が今やるべきこと 

第15回  自らの行為に向き合ってもらうために

第16回  ねじ曲がって伝えられる被害訴えの真実

第17回  ネット被害対策としての教育

 

関連記事

PAGE TOP