2015年11月23日 | 森山史海
「中傷サイト被害最前線」 第14回 根本的な解決へ私たちが今やるべきこと
今のところ、私たちサイバーオーディターが、インタネット上の中傷案件について、受理番号を発行すると、管理人が完全に放置しているようなサイトでない限り、ほとんどの書き込みが削除されています。これは、個々の被害者が繰り返し削除要請を行わずとも、管理人自らがその違法性の認識のもとに、適正な判断をしてくれている結果であると、私たちは考えています。そして、そのことは、管理者の自覚と自主的な判断を促そうとするサイバーオーディターとしては、大きな成果の一つと受けとめています。
一方、これまでも書いてきましたが、ハナから法律に基づいて、いわばその強制力で個々の被害者が削除を試みようと、弁護士や業者を使おうとすれば、何も落ち度のない被害者にも、数十万円の請求書が回ってくることも珍しいことではありません。削除をしたくても高額な費用が出せずに、泣き寝入りするしかない実態が、確かにこの問題が存在しています。
もちろん削除への対応を引き受ける側は、正当に仕事として受けているのですから、現状無償であることを期待することは無理であり、支払いができなければ仕方がない、ということにはなりそうです。しかし、そのために違法・不当な案件の放置状態は続き、さらなる悪質な書き込みに歯止めが効かなくなっているのが現実です。どこかで誰かが、それを変えていかなければいけません。
今一番必要なのは、ネット被害を生んでいる側、その環境を管理する側が、何が正しいことなのか、何をしてはいけないのか、さらに自分の行っていることが、もしかしたら自覚のないまま犯罪に繋がっているかもしれない、という危険性を自覚し、理解してもらうことだと、私たちは考えます。
このくらいのことは許されるはず、あるいはこの程度のことは見過ごしても問題ないだろう、と考える、行為者と管理者の発想を改めさせ、理解が広がることが、問題の根本的な解決につながると思っています。
サーバーオーディターは、高額な費用で引き受けている業者や専門家が、多額の広告費を使っているのに比べ、まだまだ目立つことはなく、ジミな存在です。どうやって社会に活動をアピールしていくかは、私たちの課題です。それと、同時に、サイバーオーディターのサイトにたどりついた方々に、「何が許されないのか」を一目で理解してもらえるような仕組みづくりや、その認識をネット上から社会に広げていくための、あらゆる手段を模索しなければならないと考えています。
私たちのサイトに、新しく、「罪名」「事件例」「講演会」「各掲示板管理者様へ」と言うメニューを追加しました。「罪名」ではネット上の中傷の書き込みがどのような罪に該当するのかを簡単に説明、「事件例」では、より具体的な例を紹介し、より行為者、管理者の自覚を促すことを目指します。また、今後「講演会」を通じて 学校、会社、団体などに向け、様々な情報を提供し、「各掲示板責任者様へ」では、管理者の責任やこの問題への対応などに関する相談の受けをお知らせしています。
これらを今後、さらに充実させ、広めていくことで課題をクリアしていこうと思っています。また同時に他の団体との協力体制を整えていき、より多くの意見を取り入れ、活動の範囲を広げていこうと考えています。皆様のなかで、私たちの活動に少しでも共感して頂き、賛同して頂ける方がいらっしゃいましたら、是非info@cyber-auditor.jpまでご連絡下さい。よろしくお願いします。
中傷サイト被害最前線
第1回 サイバーオーディター (コラムが残っていないため表示できません)
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