2014年10月6日 | 森山史海
「中傷サイト被害最前線」 第4回 頼るところ
ある時、ホストクラブの代表から、弁護士を紹介して欲しいと言う連絡がありました。相談内容は、またしても巨大掲示板「ホスラブ」の書き込みについてでした。内容を確認したところ、やはり、店のスレッドも、従業員のスレッドも「酷い」の一言でした。
お客さんの個人情報(本名、住所、電話番号など)が何度も書かれていました。従業員も見に覚えのない中傷が多く精神的に参ってしまい、出勤してこなくなってしまったそうです。お客さん離れも酷く、営業にも影響を及ぼしているから、何とかして欲しい。代表として、従業員には気持ちよく仕事をして欲しい、自分が何とか従業員を守ってやりたい――代表としての責任も感じているようでした。
とりあえず、大手の法律事務所に知り合いの弁護士さんがいたので早々にアポを取り、一緒についていくことにしました。弁護士さんが、どのようなことを言うのか、どんなことをしてくれるのか、私自身も凄く知りたかったのです。
当日は、代表と従業員、それと他店舗のオーナーとで、法律事務所へ向かいました。代表は、大きな紙袋に書き込みをコピーしたものを大量に持ってきていました。重要な書き込みのところに、マーカーや付箋がしてあるのを見て、改めて本気で困っていることが痛々しいほど分かりました。
弁護士さんは親身になって聞いてくれましたが、何も出来ないという結果でした。インターネットに詳しくないということ、海外のサーバーなどを通していると難しいということ。それと、一番ネックになったのは料金のことでした。開示請求や色々な手続きを取ると、数十万円になってしまい、そして従業員が増えるほどに高くなってしまうこと。
もし仮に書き込みした者を特定できたとしても、そこからまた裁判があり、相手によっては裁判費用だけが掛かり終わってしまうことも多いということでした。
帰りの車の中で、悔しそうにしている代表の顔が忘れられません。頼りにしていた弁護士さんが何も出来ないとなると、結局は泣き寝入りしかないのかーー。帰ってから、ネットでいろいろ調べてみました。弁護士どっとコムというサイトも見ました。まだ、ネットが詳しくないだけで、そのうち何かしらの対策は出来るんじゃないか。探せばネットに強い弁護士さんがいるんじゃないか。そう思いがら、探せば探すほど、不安になってきました。もしかして、本当に何も出来ないんじゃないか。
こんなにも悩んだり、困っている人がいたとしても、何もできないってどういうことなんだ、思えてきました。せっかく相談してきてくれたのに、何の役にも立てなかった自分が情けなかったです。
弁護士がダメなら警察か。知り合いがいるので相談して何とか解決策を考えよう。本気で動けば、きっと何とかなるだろうと考えていました。いろいろな、そして複雑なことが何重にも絡んでいるなんて、その時の私には予想すら出来ず、その考えの甘さに泣きを見るなんて思いもよらず、私の活動が本格化していきました。
中傷サイト被害最前線
第1回 サイバーオーディター (コラムが残っていないため表示できません)
関連記事